借入いろいろ

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企業が金融機関から資金調達する方法として、短期資金と長期資金の調達の二種類があります。短期資金とは在庫の購入や売上代金回収までの経費等先行支払いのための資金、ボーナスや税金などの資金が対象となります。一方、長期資金は設備投資のための資金を指します。

ところで、金融機関からこれらの資金を調達する場合、皆さんはどのような借り方をするでしょうか。というより、何を判断基準として借り入れをするのでしょうか。

常識的に考えて、前者の短期資金は在庫投資にしろ経費等の先行払いにしろ、売掛金が回収されれば、金融機関に返済可能なはずです。また、ボーナスや税金も、支払った後、半年から1年以内の儲けの中から、返済できるはずです。

ところが、機械や建物のような設備投資は、その設備が稼いでくれる期間が長期であるため、資金回収にも時間がかかります。そこで、設備資金を調達する場合は、半年や1年で返済することを前提にした借り方はしません。通常、3年から7年程度の期間に、分割して返済するというのが一般的です。

ところが、中小企業の決算書を見させて頂く機会が数多くあるのですが、多くの企業が短期と長期の借入目的が明確になっていません。

中には、短期の手形借入が何年にも亘って、返済されず手形の書き換えを継続していたり、長期の借入のうち返済した部分を、再度長期借入をするというケースも多々見受けられます。特に後者の場合、どんどん長期借入の本数が多くなり、毎月の返済負担が重くなっているケースもあります。

金融機関にとってはこのような融資先は極めてありがたい存在です。企業が倒産しない限り、永久に金利を払い続けてくれるからです。

そこで、このような状態になる根本的な問題を考えてみると、そもそも、中小企業には短期借入で短期資金を調達するという発想が少なく、資金繰りがしんどくなると3年・5年返済の資金を調達しその場をしのごうという発想になることと、金融機関が長期の分割弁済を勧めるからです。

しかし、分割返済の資金が導入されると、どうしてもそこに甘えが生じます。リボ払いで商品を購入するのと同じで、何本も重なると返済がしんどくなるのです。中には、余裕資金が生じて気が大きくなる経営者が出てくるのも当然なのです。

そして、振り返って見ると、借入金の山ということになってしまうのです。皆さんの会社の借入金の構成を一度調べてみてください。

毎期の営業キャッシュフロー(営業利益に減価償却費を足したものと考えてもよいでしょう)の10年分合計で返済できる長期借入金の元金総額がいくらか、現金預金・受取手形・売掛金・在庫の合計額から支払手形、買掛金を差し引いた金額がいくらか、前者が長期借入金のあるべき金額で、後者が短期借入金のあるべき金額です。

このあるべき長短の借入金合計を超える借入金を越える部分が現実の借入金として残っているのならば、その部分は、儲けの中からは返済することは出来ないのです。

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