自分の足元を見よ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
pic_g071

毎月、10日や月末の定時払いの日が近づきますと、資金繰りに頭を痛めている方も多いのではないでしょうか。いつも銀行口座に資金がだぶついている会社ならいざ知らず、一般的には入金予定を当てにして、支払の段取りをしているのが実態でしょう。

中小企業の経営者にとって、この資金繰りの問題は受注の確保、人材の確保と並んで最も重たい経営課題の一つです。特に資金繰りが厳しくなりますと、本業に時間的にも精神的にも打ち込めなくなり、更に資金繰りが厳しくなるという悪循環に陥る可能性が大きいのです。

従って、この悪循環を断ち切り、経営者が本来の仕事に専念するために何らかの手を打たなければならないのです。

そこで、経営者が実際どの様な行動にでるかというと、「売上をもっと伸ばそう!」ということになってしまう場合が多いのです。

しかし、売上の増加は一朝一夕には実現しません。売れる商品、情報収集力、販売ネットワークの確保など、それなりに時間がかかります。

また、売上を伸ばすと必然的に、材料費・外注費・人件費などの先行投資が膨らみ、更なる資金繰り悪化を招いてしまいます。従って、こういう局面で経営者が取るべき行動は前に進むのではなく、会社で今、何が起こっているのかをじっくり分析してみることです。

特に、資金繰りに関しては、詳細な資金繰り実績を作成し、会社の資金繰りを厳しくしている根本原因を突き止め、それに対する適切な策を見つけることなのです。

資金繰り悪化の根本原因について、経営者は薄々分かっている場合が多いのですが、現実の姿を見たくないというのが正直なところなのです。しかし、感覚だけでは経営は行なえません。現実の数字、即ち事実と向き合ってこそ改善策は見えてきます。そこを避けては通れないのです。

実際に、資金繰り実績を分析しますと、売掛債権と在庫投資から、支払債務を差引いた正味の運転資金を、長期の借入金で賄っているというケースが多くの会社で見受けられます。

そもそも、運転資金は商品の販売から、仕入支払が完了するまでの一つのサイクルが完結するまでに生じる資金不足を賄うために必要な資金です。従って、運転資金は短期資金で調達すべきなのですが、ついつい長期の借入に依存してしまい、その借入口数が何本も重なってしまうことにより、毎月の資金繰りが厳しくなってしまうのです。

この行動は、リボ払いで商品を何個も買ってしまう若者の行動に似たところがあります。 経営者としては、リボ払いにはまる若者の行動に眉をひそめている場合ではありません。まず、

本業からどれだけの資金余剰が生じており、毎月の返済に幾ら資金が充てられているのか、また、資金不足の時に手当てできる手形の割引枠や短期の借入枠が幾らあるのかを常に把握しながら、身の丈にあった資金繰りに努めなければならないのです。

関連記事